この記事のまとめ

建設業のリピートと紹介は、工事中ではなく「引き渡し後」に決まると言われます。施主は不具合が出た瞬間に連絡先を探し、元請けは次の発注時に安全成績と書類対応を思い出します。竣工後90日以内の点検接点、台風・大雪後の先回りの一報、竣工写真や点検履歴をまとめた「建物カルテ」、無事故記録や許認可の可視化——この4つを仕組みにした会社が、広告費をかけずに“指名”を積み上げています。

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なぜ腕のいい建設会社ほど「一回きり」で終わるのか

おかしな話ですが、施工が丁寧な会社ほどリピートを逃しがちです。理由は単純で、引き渡しの日が関係のピークになっているからです。竣工検査を終え、鍵を渡し、施主に深く頭を下げて現場を後にする。翌日からは次の現場の段取りで頭がいっぱい。悪気はなくても、施主から見れば「あの日を境に連絡が来なくなった会社」になります。

新築やリフォームの施主が次に建設会社を必要とするのは、数年後の修繕や増築、あるいは知人に「どこかいい会社ない?」と聞かれた瞬間です。そのとき名前が浮かばなければ、どれだけ良い仕事をしていても存在しないのと同じ。新規の見込み客を追うより、一度信頼を勝ち取った相手に「また頼む理由」を用意する方が、はるかに費用対効果が高いと言われます。

施主は「不具合が出たとき、誰に電話すればいいか」を覚えていない

引き渡しから2年後、クロスの継ぎ目が開いた。建具の建て付けが悪くなった。そのとき施主が取る行動は、契約書のファイルを探すことではありません。スマホで「地域名+リフォーム」と検索することです。つまりアフターの空白期間は、他社に施主を差し出している期間でもあります。

対策は難しくありません。1年点検・2年点検の案内を必ず送る。点検のたびに「気になるところはないですか」と一言添える。この定期接点があるだけで、施主の頭の中の連絡先はずっと御社のままです。多くの会社が「クレームが怖いから寝た子を起こしたくない」と点検を省きますが、実際は逆で、小さな不具合を先に拾う会社ほどクレームが減り、信頼が積み上がるものです。

台風の翌朝に届く一通が、10年分の指名を生む

建設業には、他業種にはない「関係を再起動できる季節イベント」があります。台風、大雪、梅雨、そして年度末です。

施主にとって、被害が出たかもしれない不安の最中に届く「建てた会社からの気づかい」は強烈に記憶に残ります。是正が必要なら小さな工事が生まれ、何もなくても「うちを気にかけてくれている」という貯金が貯まる。営業電話は嫌われますが、災害後の安否確認を嫌がる施主はいません。これを毎年、仕組みとして回している建設会社は、地域でもまだごくわずかです。

元請け・官公庁の「また使いたい」は、安全と書類の見せ方で決まる

下請け・専門工事の立場なら、リピートの相手は元請けの工事部長や購買担当です。彼らが次の現場で協力会社を選ぶとき、思い出すのは施工品質だけではありません。グリーンファイルの提出が早かったか。KY活動をちゃんと回していたか。無事故で終わったか。安全書類でストレスをかけない会社は、それだけで指名候補に残ります。

ここに、ほとんどの同業がやっていない差別化の余地があります。自社の無事故継続日数、安全大会の実施記録、保有する建設業許可・資格者一覧を、誰でも見られる形で整理して公開している専門工事会社は、探してもなかなか見つかりません。元請けの担当者が社内稟議で「この会社で行きたい」と説明するとき、根拠として示せる材料がウェブ上にある——それだけで担当者の仕事が楽になり、御社を推す理由になります。官公庁案件でも、経審の状況や施工実績が整理されている会社は安心材料として扱われやすいと言われます。

「建物カルテ」を渡す会社は、忘れられない

引き渡しのとき、竣工写真のアルバムを渡す会社は多い。しかし「建物カルテ」——竣工写真、使用した主要建材や設備の型番、保証期限、点検履歴を一冊(あるいは一つのページ)にまとめたものを渡す会社は、まずありません。

施主にとってこれは「家・建物の母子手帳」です。設備が故障したとき型番がすぐ分かる。売却時には建物の履歴書になる。そして点検のたびに記録が追記されていくので、カルテを持っている限り、御社との関係が続く構造になります。紙でも十分ですが、施主だけが見られるウェブページにしておけば「なくした」がなくなり、点検案内との連動もしやすくなります。

点検リマインドと不具合受付は、LINEで回すと止まらない

ここまでの仕組みを社長の手帳と記憶で回そうとすると、現場が忙しい月に必ず止まります。続けるコツは、人の記憶から仕組みへ移すことです。

例えばLINEなら、引き渡し時に施主に登録してもらっておくだけで、1年点検・2年点検の時期に自動でリマインドを送る、台風後の一斉配信で点検の声かけをする、施主が不具合箇所の写真をそのまま送ってくる——といった流れが、事務員さん一人でも回せるようになります。電話と違って現場中でも対応でき、写真が先に届くので段取りも早い。「アフターに手が回らない」の大半は、実は連絡手段の問題だったりします。

ファンになった施主は、営業マンより強い

点検で顔を合わせ、災害のたびに気づかいが届き、建物カルテが手元にある。そんな施主は、知人が「どこかいい工務店ない?」と口にした瞬間、頼まれてもいないのに御社の名前を出します。紹介客は相見積もりになりにくく、価格の話より先に信頼が成立しているのが最大の強みです。

さらにこの「引き渡し後も面倒を見続ける会社」という姿は、採用にも効きます。自分の仕事が10年後も施主に感謝されている会社と、造って終わりの会社。若手がどちらに入りたいと感じるかは、言うまでもありません。アフターの仕組みは、リピート・紹介・採用の三方向に効く投資です。

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よくある質問

Q定期点検の案内を送ると、無償対応のクレームが増えませんか?
逆のケースが多いと言われます。不具合は放置するほど大きくなり、施主の不満も膨らみます。小さいうちに拾えば軽微な補修で済み、「先に気づいてくれた」という信頼になります。保証範囲を書面で明確にしておけば、有償・無償の線引きで揉めることも減ります。
Q下請けが中心で施主と直接つながりがありません。それでもリピート対策は必要ですか?
必要です。相手が元請けに変わるだけで、構造は同じです。安全書類の対応スピード、無事故記録、資格者の体制を整理して見せられる状態にしておくと、元請け担当者が社内で御社を推薦しやすくなり、指名が続きやすくなります。
Q台風後の一斉連絡は、営業っぽく思われませんか?
「点検商法」のような売り込みにしなければ大丈夫です。「被害がないか心配で連絡した」という安否確認の形で送り、点検はあくまで希望者だけに案内する。この順番を守れば、むしろ感謝されることがほとんどです。
Q建物カルテを作る手間が現場の負担になりそうです。
ゼロから作る必要はありません。竣工写真、主要設備の型番、保証書はすでに手元にあるはずで、それを一つの型に流し込むだけです。一度フォーマットを作れば、次の現場からは引き渡し準備の一部として自然に回ります。
QLINEでの点検リマインドは、高齢の施主にも使えますか?
地域や客層によりますが、60〜70代でも家族との連絡にLINEを使っている方は多いと言われます。登録が難しい方には従来どおりはがきや電話を併用すれば十分です。全員をLINEに移す必要はなく、届く手段を複数持つことが目的です。

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光速ホームページ制作 編集部
中小企業のHP制作・集客支援を専門とする制作チーム

業種特化のHP制作を数多く手がける編集部が、実務の知見にもとづいて解説しています。